ずりずりずりばい

今日は正常発達の4回目
ずりばいについてお話しします。
 
うつ伏せの姿勢で
両腕を伸ばして、体を支えられるようになると
(on hands・push upが可能になると)
 
まずは後ろに進むことが多いです。
 
でも赤ちゃんは 本当は前に進みたいのです(/_;)
push upの結果、後ろに下がってしまうのですね。
これは生後6か月くらいで 盛んにおこなわれます。
 
 
そして次に、おなかを中心にして、方向転換をするようになります。
 
これをpivot turn(ピボットターン)といいます。
だいたい6~7か月で、できるようになります。
 
このピボットターンは、視覚的な興味から、頭を回旋させ、
頭と体幹が側屈して
頭の重みが、顔の向いている方の上肢に移動し
顔側の肩は内転、後頭側の肩は外転し、
後頭側の肘を伸ばして体を前に押すことで
上半身が回り、下肢はそれについてくるといった感じです。
 
 
その後、肘を使って前に這うようになります
生後7~8か月頃でしょうか。
 
 
これをずりばい(肘ばい、crawling)
と言っています。
 
水泳のクロールに似ているからでしょう(‘;’)
 
でも、ずりばいの仕方はいろいろです。
上肢の動きも、両方一緒に漕ぐタイプと、片方ずつ交互に漕ぐタイプ
下肢の動きでいうと、片方の下肢を交互に引き寄せ、足でも交互に蹴るタイプと
両下肢ともに伸ばしたままで、下肢はまったく動かさないタイプ
片足だけで蹴る子もいます。
 
もちろん、上肢も片方ずつ引き寄せ、
下肢も片方ずつ交互に蹴る経験を積めると
次のステップがスムーズです。
 
脳性麻痺や、二分脊椎など、神経の異常があるとき、
両下肢を強く伸展させていたり、
だらりと伸ばしたままであったりします。
交互に動いていないときは、注意が必要です。
 
左右片方の麻痺がある場合、
上肢の動きに左右差が強く、
それで麻痺に気が付くことも よくあります。
 
さてさて、ずりばいを促したいとき
私はいつも
「まずはおもちゃで横に誘ってくださいね。
おなかを中心に、ぐるぐる回れるようになって、
初めて前に進めるようになります。
まずは横に。」
といって、ピボットターンを促します。
 
 
 
やがておなかを床から挙げて、
 
四つ這い(creeping)が可能となるのです。
これも7か月以降、本格的には8か月から行います。
 
四つ這いの詳しいことは、また次回(^_^)/~

こどものSOS、キャッチしていますか!

地域のクリニックでリハビリしている、4歳のAくん。
つかまりだち、伝い歩きまで上手にできますが
両足つま先立ちになってしまうので、
当院へはちょっと遠いけど、
短下肢装具作製希望で来院されています。

先日 装具の仮合わせにみえたとき、
お母さまからご相談がありました。

「2日前にリハビリで、足首のストレッチをしたときに
すごく痛そうで、震えていたんです。
でもそのままストレッチは続けられて…
家に帰ってから、立てなくなってしまいました」(/_;)

際立った腫れや内出血はないのですが、
距骨下関節あたりに少し熱を持っていて
アキレス腱の踵の付着部を触ると、痛そうに逃げます。

きっとアキレス腱を痛めたのでしょう。

レントゲン、エコーでは、はっきりした異常所見はなかったので
微細な筋繊維の損傷だったのでしょう。
しばらくはストレッチを中止して
経過観察としました。

つまさき立ちになる子どもたちのリハビリで、
アキレス腱(足首)のストレッチは欠かせません。
もちろん嫌がる子どもも たくさんいます。

言葉を話せない子どもたちは
痛いのか、嫌がっているだけなのか
わかりにくいかもしれません。

言葉を話せる子でさえも、
その区別がつかないことも多々あります。

でも、”震えていた” ってことは
嫌がってではないでしょう。

そのちょっとした違いを、ちゃんと受け止めていないと
本当に事故につながります。

アキレス腱をリハビリ中に切ってしまうということは
以前にも遭遇しています。

ありえないことではないんです!

大切なことは、

・「アキレス腱はストレッチ(ROM訓練)で切れることがあるんだ」
という認識を持つこと
・こどものそぶりを普段からしっかり観察し、
いつもと違う表情を、ちゃんとキャッチすること

ストレッチしている足首ばかり見ていると、
これに気づくことができないんです。

今回は完全には切れていなかったから よかったですが…

もう一つ、お伝えしたいことがあります。
たとえアキレス腱が徒手的に切れてしまったとして
「かえって足首が柔らかくなって、つま先立ちが直る」
なんて
安易に思わないでください!!
本当に切れたら、力が入らなくなって
その足で体を支えられなくなります。
放置すれば、立てなくなってしまいます。

ちなみに今年の3月、母(83歳)がアキレス腱を切りました。
近所のお寿司屋さんの出口で、足をつまずき 
捻挫かな?と思ったら
足がプラプラに…
歩けなくなってしまいました。
それだけで、本当にぷっつり切れてしまったのです。
おかげで完治まで4カ月かかりました。
そんなこともあるんですね。

耳の痛いお話で ごめんなさい!

ダウン症児の身体的特徴

今日はダウン症についての4回目
ダウン症児の症状と合併症についてお話しします。

ダウン症児の症状として、大まかに3つに分けてお話しします。
① 身体的特徴
② 知的障害
③ 合併しやすい病気
です。

まずは①身体的特徴について
ダウン症と言えば、からだが柔らかい、ということは
多くの方がご存知と思います。
筋力が弱く、筋肉や結合組織、関節の袋や靭帯など、からだを構成する要素が柔らかく、伸びやすいといった特徴があります。
一言でいうと、筋緊張が低下していて、関節弛緩性がある、ということです。

ダウン症に限らず、精神発達遅滞の子どもさんは、
脳性麻痺などの神経学的な異常がない場合、
多くは筋緊張が低下しています。
中でもダウン症児は特に柔らかいことで有名です。

なのでダウン症の赤ちゃんは、
柔らかくて、気持ちよくて
私は抱っこさせてもらうのが大好きです(;^ω^)

さてさて関節弛緩性と言えば、5つの指標が有名です(Carter徴候
 足関節・膝関節・肘関節・手関節・母指の5か所で調べます。
関節の袋が伸びやすいため、過剰に動いてしまうということです。
5か所のうち3か所緩ければ、関節弛緩性がある、と言います。
ダウン症に限らず、この関節弛緩性を持っている方は
健常児でもいらっしゃるんですが、
関節の緩さのために、外反扁平足になったり、足首の捻挫を繰り返したり
肩が外れやすかったり、股関節も外れやすかったり
X脚になりやすく、膝蓋骨脱臼を起こしやすかったり…
あまりいいことはありません。

最近は、体が柔らかいことを推奨する傾向があるようですが、
柔らかすぎるのも、問題です!

かなりお話がそれてしまいました( ;∀;)

脳性麻痺の原因について

今日は脳性麻痺の原因について、お話しします。

私がまだ若かったころ、
脳性麻痺の原因は、①低出生体重児②仮死③核黄疸って習った気がします。

核黄疸はずいぶん減ったように思いますが、低出生体重児、早産は
どんどん増えていますね。
最近では、出生時体重500g、って子もいます。
すごいですね。こんなに小さくても、ちゃんと生まれられるということは
医学の進歩のおかげです。

私のもとには、
何らかの運動面の心配のある子どもさんがいらっしゃるわけですので、
よくわからないのですが、
そんなに小さく生まれても、何ら障害を残さない子もいるのかもしれません。

ただ、やはり
外界からの刺激に耐えられるだけの準備のできていない胎児が
母のおなかから出てしまうということは
何らかの影響を受ける可能性が高いと思われます。

脳性麻痺になる子どもさんもたくさんいらっしゃるし、
過敏とか、注意散漫とか、発達障害のような症状のあることも。
皆さんというわけではないと思いますが

「仮死」はわかりますか?
Apgar score って、母子手帳に記載されているかと思います。
アプガースコアとは、分娩直後の新生児の状態を評価する方法のひとつで、
子宮外環境や蘇生に対する新生児の反応を定量化して評価します。
アメリカの小児科および麻酔科医(女医さん!)
ヴァージニア・アプガー (Virginia Apgar) により開発された指標です。

 アプガースコアの観察項目および採点方法です。
A: Appearance 皮膚色
 0:全身チアノーゼもしくは蒼白
 1:体幹は淡紅色、四肢はチアノーゼ
 2:全身淡紅色
P: Pulse 心拍数
 0:なし
 1:100/分未満
 2:100/分以上
G: Grimace 刺激に対する反射
(Grimaceとは、”しかめっつら”って意味です(;^ω^))
 0:なし
 1:顔をしかめる
 2:泣くあるいは咳・くしゃみ
A: Activity 筋緊張
 0:だらっとしている
 1:四肢をいくらか曲げている
 2:四肢を十分に曲げている・活発な自発運動
R: Respiration 呼吸
 0:なし
 1:泣き声が弱い・不規則で不十分な呼吸
 2:強い泣き声・良好な呼吸

これを合計して、
0~3点:重症新生児仮死 
4~6点:軽症新生児仮死
7~10点:正常
と判定します。
判定する時間は、主に出生後1分後と5分後です。

頭文字をとってもAPGAR!!
おもしろいですね!(*^-^*)

次回は最新の知見を踏まえ、もう少し踏み込んでお話します。

赤ちゃんの股関節脱臼を予防する

今日は股関節脱臼の予防について、お伝えします(^^)
 
前回、股関節脱臼の危険因子についてお伝えしました。
結局大切なことは、
足の動きを妨げないこと!
そして向き癖をつけないこと!
 
遺伝とか、女児とか(当たり前!!)は、自分ではどうしようもないし、
おなかの中にいるときの環境を変えることもできないし、
逆子にしないっていうのも、そんな簡単なことじゃないですから。
 
さてさて、そもそも股関節が安定する(つまり外れない)姿勢って
どんな姿勢でしょう??
 
股関節は、骨盤にある「臼蓋」という部分、
これは真ん丸にえぐれた穴みたいな形です。
ここに大腿骨(太ももの骨)のまん丸の頭が
ポコってはまっているんです。
 
臼蓋は、斜めに開いているので、
大腿骨の頭は、斜め外からこの穴にはまるのですが
足が開いていると、しっかりはまりやすくなり
足が伸びて真っすぐになっていると、
頭がしっかり入りきらなくて
不安定になるんです。
 
 
できることは、
 
① おむつの当て方!
最近は、布おむつを使う人がすごく減りました。
布おむつも、足を開いておく効果は高かったと思うんです。
今は紙おむつになって、足があまり開いていないことが多いです。
その分、しっかり動かせるように、おむつは上の方で留めましょう。
おむつを当てたら、股関節で下肢がしっかり動くか、確認してください。
おむつが邪魔していませんか?
 
しっかり開くこと+しっかり動かせること(キックキックできること)が大切!
 
そしておむつを替えるときにも配慮が必要です。
両足くびを片手でまとめてつかんでお尻をあげるのは、ダメ!!です!
股関節が、ますます緩くなってしまいます!
(緩くなる→抜けやすくなる!!)
お尻の下に手を入れて、そっと持ち上げてくださいね!
 
② 衣服の着せ方!
   これもおむつと同じです。
   足がちゃんとよく動くデザインにしましょう。
   なんと、秋冬に生まれた子どもには、股関節脱臼が多いんです!
   服が厚着だから、と言われています。 
   そんなことで、脱臼するんです!怖いですね…
 
③ 抱き方!
   横に抱っこするときは、必ず股に手を入れて、しっかり開くようにしましょう。
   3ヵ月までの赤ちゃんは、まだ首がしっかりしていないので、
   横抱きにすることも多いと思います。
   おっぱいを飲ませるときも、そうですね。
 
   縦抱きにするときは「コアラ抱っこ」!足をM字にすることが大切です。
   ergoっていう抱っこ紐がありますね。
あれは足がM字にしやすくて、いいと思います。
スリングは、股関節も膝関節も伸ばす姿勢で使用すると、
股関節脱臼の原因となるので、十分注意してください!!
 
④ 向き癖をなおす!
赤ちゃんをあおむけで寝かしていると、いつも同じ方向を向きたがることがあります。
これを「向き癖」っていうのですが、
これがくせ者!!
 
これ、話始めると長くなるので、次回にします(*^^)v
 
今日のお話しは、小児整形外科学会が出している動画を見ると、理解が深まると思います。
早期発見のポイントもわかります!
是非!
 
「股関節脱臼予防と早期発見」アニメーション動画 「赤ちゃんの病気、股関節脱臼」で検索できます。
 
 

正常発達:うつ伏せ姿勢について

こんにちは!
正常発達の3回目 うつ伏せ姿勢についてお話しします。

生後10日目の赤ちゃんは、うつ伏せにすると顔を横に向け
手足を曲げて、小さくなっています。
もうすでに お顔の向きは変えることができます。
そして一瞬顔を上げ、顔の向きを変えることもできます。

人間は、重力に逆らった(抗重力)活動をし始めるとき、
頭から足の方(尾側)へ筋肉が働くようになる、という原則があります。

だからまず、首の後ろが伸展できるようになり、
重力に逆らって頭を持ち上げるんです。

そして月数が上がるにつれて、
生後3か月くらいで頭と首、肩が上がり、肘から前腕で体を支えられるようになります。
(これをon elbowsといいます。)

そろそろくびが座ってきますね。

そして4ヵ月を過ぎると胸が上がり、肘が上がり、みぞおち位まで床から上がってきます。

体重の中心(重心)が、尾側(足のほう)へ下がってくることで
前腕にかかっていた重みが軽くなり、
うつ伏せでおもちゃに手を伸ばし、遊べるようになります。

前腕でからだの重みを支えていたら、
おもちゃに向かって手を伸ばすことはできないですから( ;∀;)

生後5カ月を過ぎると、ますますしっかり上がるようになり、
腕は伸展し、手で支えるようになります。
この姿勢をon handsといいます。

股関節や膝関節も、徐々に伸びてきます。

両腕を床から離して、横に伸ばし、足も浮かせて
飛行機みたいな格好もするようになります。
(air planeっていいます。)

生後6カ月では、おへそ近くまでおなかを持ち上げ
(背骨を伸展させ)

体重があまりかからなくなった上肢を横に動かし、

そろそろおへそを中心に くるくる回り、
体の向きを変え始めます
これを pivot turnといいます。

こうなったら、次はずり這いですね!

イメージできました?
ネットでうつ伏せ 赤ちゃん と画像検索すると、
いっぱい出てきます。
この子は生後何カ月??
なんて、自分で推理すると面白いかも。

もちろん、正常でも個人差は非常にあります。
あまり神経質にならないでくださいね。

でもリハの先生なら、
「おもちゃに手を伸ばさせたいなら、
その前に重心位置がもっと尾側に来ていないと…」
といったように考えられるといいですね。

そしてずりばいを促す前に、
pivot turnを出しましょう!

では次回の正常発達は「ずりばい」です。

お疲れ様でした!(*^-^*)